気になるパン屋さんの奥に潜んでいた出会いの一皿
ベトナム・ホーチミンでの生活を始めてすぐの頃、家から歩いて行ける距離に気になるお店を発見しました。お店の感じからして、どうやらパン屋さんらしい。
いつ通りかかっても地元の人がどんどんお店に入っていくので、さぞかし美味しいパン屋さんなんだろうなと思って、ある日思い切って買いにいったんですよね。ここホーチミンでは英語は通じないことも多く、特にこのお店みたいなローカルの人たちで賑わうお店はいきなりベトナム語で話しかけられることも多いのです。なので、かなりビビってたわけでして…
それでいざパンを買おうと思って入口に差し掛かったところでお店には奥に席が見えた。
あれ、ここは食事もできるの!?
こういうときはぐいぐい行くに限る。ということでお店の奥に入って座ってみたわけです。そしたら店員さんが英語が併記されたメニューをくれたんですよね。いやー、よかった。
と思ったのもつかの間、
お姉さん、その場からどかない。目の前でオーダーを待ってる。
えーーー、じっくり選べないじゃん。。
先日書いたブンチャーのお店の話もそうですが、ベトナムの飲食店はメニューを渡されたらすぐにオーダーをするの普通?みたいで、ローカル度の高いお店ほど、その傾向は強くなる感じがします(自分比)。
でもここはプレッシャーに打ち勝ってスマートにオーダーしてみよう、と意を決してメニューから飛び込んできたのが「BEEF STEW」という文字でした。ほんとはビーフシチューが食べたかったのではなくて、たまたま目に入ってきたのがそれだったので、もういいや!という感じでオーダーを済ませたわけです。
それから数分後、きたのがこちら。
び、ビーフシチュー!?
これ、ベトナム風ビーフシチューと言われる「Bò Kho」でした(後から調べて分かった)。
一般的なビーフシチューとの大きな違いは、
●シチューだけどスープにとろみはなし(さらさらスープ)
●香草がどさっと乗っている
●ライム&塩がついている
●パンと一緒に食べる
といったところでしょうか。ひとくち食べたら・・・・うまっ!!
これ、めちゃくちゃおいしいんですよ。香草がいい役目をしてます。そして牛肉はこのライム塩につけたりして味も自分好みに調整しながら食べるわけです。ベトナムの食べ物はどれもそうだけど、調味料を加えて最後は自分で味を整えるんですよね。もちろん何も入れなくてもおいしいわけですが、整えるひと手間で更においしくなるのです。
そして付け合せのパンは、店頭で毎日焼いているパン。ふかふかでおいしいのです。
ガイドブックに多く載っているようなお店ではないけれど、気になって入ったお店で、たまたま選んだ一皿がものすごくおいしかったという経験。
こういう風に出会ってしまった一皿ってその後ずっと記憶に残るんですよね。
「この店でこれを食べるんだ!」と意気揚々とお店に向かうパターンとは真逆ですが、料理とのこういう出会い方は好きなので、新しい街にいくと予期せぬ出会いを求めてふらふらとそんなお店探しをしてしまうんですよね。
また今日も小さな冒険を。
Tomoko Taketani/武谷朋子